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性的少数者のトイレ使用制限に関する最高裁の初判断が示されました

性的少数者のトイレ使用制限に関する最高裁の初判断が示されました

 

国の対応を違法とする初判断

       7月11日、戸籍上は男性で性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレの使用制限について、最高裁第3小法廷は国の対応を「裁量権の範囲を逸脱し違法」とし、制限を不当と判断しました。

       この制限は、女性トイレ使用に関する要望を受けて開かれた職員向け説明会でのやり取りを踏まえ経済産業省が決定したもので、下級審では判断が分かれていました。

       

      判断理由

       最高裁は「他の職員への配慮を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視するもので、著しく妥当性を欠く」とし、理由を次のように挙げています。

      ① 女性ホルモンの投与や≪…略…≫を受けるなどしているほか、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている

      ② 女性の服装等で勤務し、本件執務階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない

      ③ 数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない

      ④ 約4年10カ月の間に、上告人による本件庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否かについての調査が改めて行われ、本件処遇の見直しが検討されたこともうかがわれない

       

      今後の対応

       裁判官の補足意見には、使用制限について、当初の必要性は認めつつ、教育等により理解を得るための努力を行い、必要に応じて見直すなどが必要だったとするものがあります。

       また裁判長は、今後、事案の積重ねを通じて指針や基準が形作られることに期待したいとしています。

      【裁判所ホームページ判決文】

      https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/191/092191_hanrei.pdf