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建設業の時間外労働の傾向

建設業の時間外労働の傾向

 

 建設業については、適用が猶予されていた時間外労働の上限規制が、来年4月から開始されます。

 

時間外労働の傾向に業種の差

       建設業の時間外労働については、帝国データバンクの「建設業の時間外労働に関する動向調査」(2023年8月時点)によると、次のように建設業全体の時間外労働時間は前年を下回っているものの、以下のように業種により増加している実態もみられました。

      「建設業」の時間外労働時間DI(※) 48.8

       …「はつり・解体工事業」 54.4

       …「内装工事業」 52.4

       …「建築工事業(木造建築工事業を除く)」 51.8

       …「鉄骨工事業」 51.6

      ※ 時間外労働時間DIは、前年同月と比べて時間外労働時間が「非常に増加した」~「非常に減少した」までの7段階で質問し、算出した値。DIは0~100の値をとり、50超が増加、50未満は減少を表している。

       

      業種に応じた対策を

       通常の業務改善助成金は、事前に賃金引上げ計画・事業実施計画(設備投資等の計画)などを管轄の都道府県労働局に提出し、審査を受けて交付決定されてから計画に沿った賃金の引上げを行うという流れになります。

       今回の拡充においては、事業場規模50人未満の事業場が対象の期間内に賃上げを実施した場合に限り、賃金引上げ後の申請が可能となります。対象の期間は、令和5年4月1日から令和5年12月31日です。実施後の申請では、賃金引上げ結果・事業実施計画の提出が求められます。賃金引上げ計画の提出は不要です。

       

      助成率の区分となる金額の引き上げ

       「建設業」としては48.8(年平均でも48程度)で減少となっており、中には土木工事業(造園工事業を除く)で44.8といった業種もありますが、上に挙げた業種はこの1年を通して見たときも、50を超えることが多いようです。

       一口に建設業といっても業種により特徴があります。また、この調査結果を見ると、季節的な繁閑のタイミングにも業種の差があるようです。

       来年4月1日まで残された時間は多くありません。それぞれの業種の特性を踏まえ、時間外労働対策や時差出勤、テレワーク、時間年休といった取組みを早急に具体化していく必要があります。

       一方、人材確保のためには、社内コミュニケーションを促進するなどの職場環境の改善も必要です。さまざまな課題がありますが、一つひとつ取り組んでいきましょう。

       

      【帝国データバンク「建設業の時間外労働に関する動向調査(2023年8月)」】

      https://www.tdb-di.com/2023/09/sp20230926.pdf